気管支学
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一般用医薬品の防風通聖散による薬剤性肺炎の1例
森田 沙斗武滝本 宜之内藤 祐二朗長 彰翁寺田 晴子阿部 欣也
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2012 年 34 巻 6 号 p. 558-563

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抄録

背景.近年ダイエットの目的で防風通聖散の一般用医薬品が広く販売されている.今回,我々は一般用医薬品の防風通聖散によって薬剤性肺炎を発症し重症化した症例を経験したので報告する.症例. 66歳女性. 2011年1月より,市販されている防風通聖散を自ら購入し内服を開始. 3週間後より呼吸困難,発熱が出現し当院入院.胸部CTにて両側肺にびまん性のスリガラス陰影を認めた.入院後も急速に呼吸不全が進行し,一時人工呼吸管理を必要とした.気管支肺胞洗浄液で好酸球及びリンパ球増加を認め,同薬剤による薬剤性肺炎と診断,ステロイド療法にて著明に回復した.また,同剤に対する末梢血リンパ球刺激試験は陽性となった.結論.近年,防風通聖散をはじめ,漢方薬を含有する医薬品が一般用医薬品として広く宣伝販売されていることから,それらによる薬剤性肺炎の可能性に留意する必要がある.

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© 2012 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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