背景.中縦隔腫瘍は,周囲を大血管に囲まれアプローチが困難なために術前診断が困難な場合が多い.症例.症例は78歳の男性.咳嗽を主訴に受診し,胸部CTとMRI所見で中縦隔に3.6cm大の腫瘤を認めた.喉頭・気管内局所麻酔下での気管支鏡検査を試みたが,気管・気管支軟化症による換気不全のために検査不可能であった.そこで全身麻酔下にEBUS-TBNA(超音波気管支鏡ガイド下経気管支針生検)を行ったところ採取された検体では確定診断がつかず,引き続いて縦隔鏡検査を行った.縦隔鏡下に観察したが鏡視下には腫瘤と断定できず, EBUSで腫瘤を確実に描出し,縦隔鏡下生検を行った.病理検査所見で紡錘形細胞からなる腫瘍性病変を認め,免疫染色でS-100蛋白が陽性であり神経鞘腫と診断した.結論.中縦隔腫瘍に対して縦隔鏡とEBUS-TBNAの両者を併用することで,安全に確定診断を得ることが可能であった.