2013 年 35 巻 6 号 p. 661-665
背景.気管支炎症性ポリープは,稀な非腫瘍性病変であり,その成立機序は明確ではない.今回,炎症性ポリープの成因としてStenotrophomonas maltophiliaが考えられ,手術を施行した1例を経験したので報告する.症例. 66歳,男性.血痰を主訴に前医を受診し,胸部CTで左B^<1+2>末梢気管支内腔に腫瘤を認め,精査加療目的で当科へ紹介となった.細径気管支鏡検査を行ったところ,左B^<1+2>内腔にポリープ様腫瘤と白苔付着を認めた.生検では悪性所見はなく,細菌検査でも有意な細菌は検出されなかった.悪性の可能性が完全に否定できなかったため,胸腔鏡下S^<1+2>区域切除を施行した.肉眼では,腫瘤はB^<1+2>内腔に突出しており,病理所見では,腫瘍性変化はなく,慢性炎症所見を認めた.後日,組織の培養検査よりStenotrophomonas maltophiliaが検出され,気管支炎症性ポリープの要因の1つと考えられた.