気管支学
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仮想気管支鏡ナビゲーション併用によるTBNAにて確定診断しえた肺MALTリンパ腫の1例
立原 素子田村 大介畠山 由記久新家 治子堀 朱矢石川 結美子櫨木 暢子小林 和幸船田 泰弘小谷 義一西村 善博
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2013 年 35 巻 6 号 p. 671-676

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抄録

背景.肺末梢小型病変に対する仮想気管支鏡ナビゲーションシステムの有用性は広く知られてきているが,肺門・縦隔気管支壁外病変に対する穿刺ガイドとしての報告はない.症例. 49歳,女性.呼吸困難を自覚して近医を受診した.胸部造影CTにて左肺動脈に接して腫瘍が認められたため,当科紹介受診となった.気管支鏡検査では腫瘍は気管支に表出しておらず,腫瘍が存在すると考えられたB^<1+2>c背側部を穿刺したが,病理学的な診断に至らなかった.再検として仮想気管支鏡ナビゲーションシステムを併用した経気管支針吸引(TBNA)を行うこととした.仮想気管支鏡ナビゲーションでは腫瘍はB^<1+2>a入口部上背側に位置しており,同部位を穿刺したところ,出血も少なく,組織も採取でき,肺MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫の確定診断をしえた.結論.肺門・縦隔気管支壁外病変に対する経気管支鏡的診断は,腫瘍の存在部位が同定できないため困難となる場合が多い.仮想気管支鏡ナビゲーションシステムは,肺門・縦隔気管支壁外病変に対するTBNAの診断支援にも有用であると考えられた.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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