気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
肺癌術後の口腔内転移に対し気管支鏡下エタノール注入療法が有効であった1例
喜多 秀文白石 裕治下田 清美平松 美也子吉田 勤
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 36 巻 2 号 p. 188-192

詳細
抄録

背景.気道内の腫瘍病変による気道狭窄に対して,狭窄部の開大による気道確保を目的とした治療として,エタノール注入療法は簡便かつ効果的な方法として挙げられる.症例.59歳男性.肺癌術後約2か月経過した頃より血痰と軽度呼吸苦が出現した.気管支鏡を施行したところ口蓋扁桃と舌扁桃に腫瘍を認めた.特に舌扁桃の病変は気道の妨げとなっていた.そこで口腔内腫瘍に対し,気管支鏡下にて99.5%エタノールの注入を施行した.その結果腫瘍は消失し,呼吸苦も改善した.エタノール注入から肺癌の進行によって死亡するまでの約5か月間,消失した口腔内の腫瘍の再発は認めなかった.結語.エタノール注入療法は気道閉塞を伴う腔内突出型の腫瘍に対して非常に効果的な治療法であり,患者の気道確保およびQOLの改善に有効な手段と考える.

著者関連情報
© 2014 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top