気管支学
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摘出に難渋した魚骨による気管支異物の1例
澤井 豊光吉岡 寿麻子松尾 信子須山 尚史河野 茂
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キーワード: 気管支異物, 魚骨, V字型
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2014 年 36 巻 2 号 p. 193-196

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抄録

背景.V字型の魚骨による気管支異物のため摘出に難渋した症例を経験した.症例.75歳,男性.咽喉頭部違和感,咳嗽,血痰を主訴に近医を受診し,胸部CTにて左主気管支の気管支異物を指摘され当科紹介となった.6週間前に鯛のお吸い物を食べた際に咳き込んだというエピソードがあった.同日,気管支鏡検査を行ったところ,左主気管支にV字型の魚骨を認めた(長辺2.5cm,短辺1.5cm).V字型魚骨の短辺の方を鰐口鉗子で把持,牽引したが,V字型の片方は左主気管支内腔より長かったため気管支壁に支え摘出は困難であった.次にV字型魚骨の長辺の方を鰐口鉗子で把持,牽引したところ,気管支壁に支えることなく魚骨を摘出し得た.結論.単針様の魚骨であれば摘出は比較的容易であるが,形状がV字型の場合,その角度が広く,径が長いほど軟性気管支鏡での摘出は困難となり,硬性気管支鏡や外科手術まで考慮する必要がある.

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© 2014 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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