気管支学
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気管支鏡で直視所見を有する症例に対するガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS)併用気管支内生検の有用性と安全性の検討
伊藤 亮太今井 直幸高嶋 浩司與語 直之岡地 祥太郎青山 大輔犬飼 朗博安藤 昌彦今泉 和良長谷川 好規
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2015 年 37 巻 4 号 p. 375-381

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抄録

背景.直視所見を有する病変には直視下で生検,擦過,洗浄などを施行し,診断を試みることが多いが,出血により十分な検査が施行できない場合がある.目的.ガイドシース挿入可能な直視所見を有する病変に対してEBUS-GS法を行い,その有効性と安全性について検討した.方法.2009年4月7日から2014年1月21日までに,名古屋大学附属病院で直視所見を有する病変に対してEBUS-GS併用気管支内生検を行った15症例(GS群)を対象とし,その診断率と安全性を検討した.また直視下で生検を行った27症例を直視生検群とし,比較検討を行った.結果.全15症例中, 14例(93.3%)で診断可能であり,重篤な合併症は認められなかった. GS群の病変部位は区域支が主であり(14例/15例[93.3%]),またGS群における診断率は直視生検群と比較し, 93.3%と85.2%で有意差は認めなかった.なお病変が粘膜下病変であるもしくは壊死組織に覆われている場合に,生検による病理組織診断が得られにくい傾向を認めた.生検回数はGS群,直視生検群でそれぞれ中央値9回(6〜12回)と7回(5〜9回)であり, GS群で有意に多かった(P=0.012).またGS/直視生検併用群6例を除いたGS群9例と直視生検群27例では,両群ともに止血剤の使用割合はほぼ同等であったが,検査後の発熱や低酸素血症などの合併症の割合は11.1%, 29.6%とGS群で少ない傾向にあり,また平均検査時間は43.9±15.8分, 57.6±14.9分と有意にGS群で短かった(P=0.024).結論.ガイドシースを挿入可能な直視所見を有する病変に対してEBUS-GS法は安全かつ十分な回数の生検が可能で,有用な方法であると考えられた.

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© 2015 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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