気管支学
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人工呼吸器管理中の慢性有瘻性膿胸に対してEWSを用いた気管支充填術を施行した1例
梶浦 耕一郎滝沢 宏光坪井 光弘鳥羽 博明中川 靖士川上 行奎先山 正二近藤 和也丹黒 章
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2015 年 37 巻 4 号 p. 409-413

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抄録

背景. Endobronchial Watanabe Spigot (EWS)による気管支充填術は,外科的アプローチが困難な全身状態不良の患者に対して比較的低侵襲で気瘻閉鎖を期待できる治療法である.症例. 84歳,男性.慢性有瘻性膿胸による前胸部膿胸腔皮膚瘻の診断で,瘻孔閉鎖目的にEWSによる気管支充填術を施行した.皮膚瘻からのエアリークは減少し,皮膚瘻は自然閉鎖したが, EWSを喀出した後に吸引性肺炎を発症し,人工呼吸器管理となった.胸腔ドレーンを挿入したところ,気管支瘻からのエアリークが多く,換気量が確保できなかった.再度EWSによる気管支充填術を施行して責任気管支を閉塞させると有効換気が得られるようになり,呼吸状態が改善した.その後肺炎が軽快し,人工呼吸器の離脱が可能となった.結論. EWSによる気管支充填術は,人工呼吸器管理を必要とする有瘻性膿胸に対しても低侵襲に行える有用な治療であった.

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© 2015 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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