気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
フィブリン糊散布とEWS充填術の併用により治癒した術後気管支断端瘻の1例
麻生 達磨猪島 尚子橋口 波子猪島 一朗
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 37 巻 4 号 p. 414-418

詳細
抄録

背景.術後気管支断端瘻は肺切除術後の重篤な合併症の一つであり,外科的治療が困難な場合は内視鏡的治療が選択される.症例. 76歳男性.右非小細胞肺癌(cT1aN0M0, stageIA)に対し前医で右中葉切除術が施行されたが,術後10日目より右肺に浸潤影および右胸水貯留が出現.肺炎および既存の特発性間質性肺炎の増悪と考え,抗菌薬およびステロイド投与を行うも効果なく,胸水も増加し,術後約4週目(29日目)に治療継続のため当院に転院となった.胸腔ドレナージを施行したところ,持続性のエアリークを認め,気管支鏡検査より右B^5の術後気管支断端瘻と診断した.全身状態不良のため再手術は困難と考え,気管支鏡下でフィブリン糊(ボルヒール^[○!R])を断端部に注入したが改善が得られず, 1週間後フィブリン糊注入に続いてEWS充填術を施行した.その後瘻孔の周囲に徐々に組織が形成され,断端は閉鎖し, EWSは自然喀出された.結論.気管支断端瘻に対する内視鏡的治療として,フィブリン糊注入とEWS充填術の併用は有用であると考えられる.

著者関連情報
© 2015 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top