気管支学
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3年間の気道異物刺激で気管支ポリープを形成し閉塞性肺炎と肺門縦隔リンパ節腫脹を生じた1例
小松 太陽廣佐古 進坂本 安見子小嶋 圭介岡本 真一郎佐伯 祥一安 秀範藤井 一彦池田 公英森 毅鈴木 実浦本 秀志興梠 博次
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2015 年 37 巻 4 号 p. 435-440

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抄録

症例. 28歳男性. 2か月前から発熱を来し,胸部CTにて右中間気管支幹の閉塞と右中下葉の閉塞性肺炎,縦隔リンパ節の多発性腫大を認めた.軟性気管支鏡検査にて右中間気管支幹内に腫瘤性病変を認め,同病変より計3回行った生検組織診はいずれも非特異的炎症であった.著明な肺門・縦隔リンパ節腫大のため悪性腫瘍の否定ができず,全身麻酔下に軟性気管支鏡にて腫瘤を高周波スネアで切除したところ,その直下の気道内に嵌入するプラスチック製の異物を発見し除去した.この腫瘤の病理組織像も炎症細胞浸潤であった.異物は3年前の酩酊時に誤嚥されたものであることを患者から聴取した.抗菌薬にて閉塞性肺炎は治癒し,以後,縦隔リンパ節腫大も縮小し右中下葉の含気も回復した.以上より, 3年にわたる異物の慢性的な粘膜刺激により炎症性ポリープが形成され,気管支異物とともに無気肺,閉塞性肺炎を生じ,反応性に縦隔リンパ節が腫大したものと考察した.結論.プラスチック製異物はX線透過性により画像描出が明確でなかったことが診断に苦慮した一因であった.病態の特定できない気管支炎症性ポリープは,気道異物も鑑別に入れて診断する必要がある.

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© 2015 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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