背景.出血・気道狭窄を伴う中枢気道の腫瘍に対する治療戦略として,緊急の止血・呼吸管理に加えて,局所的な腫瘍制御が重要である.症例. 59歳女性.右肺扁平上皮癌にて右中下葉切除術後.大量喀血を伴う呼吸不全のため気管挿管,人工呼吸管理となった.気管支内視鏡で,右主気管支を占拠する腫瘍塊と,その末梢からの出血を確認した.12時間後に気管支動脈塞栓術を施行したが,止血後も高濃度酸素下の呼吸管理を要した.高出力レーザー治療は危険性が高いと判断し, 7日後に気道狭窄の軽減を目的として光線力学的治療(Photodynamic Therapy ; PDT)を施行した.腫瘍は縮小し,人工呼吸器を離脱した.縦隔外部照射を追加し,局所再発病変は制御された.結論.人工呼吸管理下においても, PDTは安全に施行可能である.中枢気道腫瘍に対して, PDTは緊急止血処置に続く待機的治療として有用である.