2015 年 37 巻 5 号 p. 493-500
背景. cN2非小細胞肺癌症例に対する外科治療の適応は明らかではない. cN2/pN2の外科治療の成績の検討では,multiple-station-pN2(multiple pN2)に比べてsingle-station-pN2(single pN2)の成績が良好とされる.そのため,single cN2は外科治療により予後を改善する可能性があり,転移station数を含めたN因子診断は重要と考えられる.しかし,CTもしくはPET-CTで縦隔リンパ節転移station数を確定することは困難である.目的. CTもしくはPET-CTで縦隔リンパ節転移が疑われた非小細胞肺癌において,転移station数を含めたN因子診断に対する超音波気管支鏡下穿刺吸引生検法(EBUS-TBNA)の有用性を検討する.対象と方法. 2007年4月から2014年3月までの7年間に,画像評価で縦隔リンパ節転移が疑われた症例に対して,転移station数を含めたN因子診断を目的にEBUS-TBNAを施行した非小細胞肺癌の64例を対象とし,その成績について後方視的に検討を行った.結果.画像評価では, 33/64例がsingle N2, 31/64例がmultiple N2・N3であった. EBUS-TBNAを施行することで,38/64例がcN0-1, 8/64例がsingle cN2, 18/64例がmultiple cN2・cN3の診断となった. cN0-1とsingle cN2の合計46例が切除となり,31/46例がpN0-1, 10/46例がsingle pN2, 5/46例がmultiple pN2と診断された. multiple pN2・pN3の17例を除いた14例(pN0-1: 10例, single pN2: 4例)は,EBUS-TBNAにより外科治療へ治療方針の変更が可能となった.結論. CTもしくはPET-CTに加えてEBUS-TBNAを施行することは,転移station数を含めたN因子診断を改善させ,外科治療へと方針変更できた点で有用であった.