気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
気管支鏡検査で診断した慢性肺コクシジオイデス症の1例と本邦報告18例の集計
佐藤 亮太田村 厚久小山 壱也島田 昌裕川島 正裕大島 信治益田 公彦山根 章永井 英明赤川 志のぶ大田 健
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 37 巻 5 号 p. 572-578

詳細
抄録

背景.慢性肺コクシジオイデス症は,結節や空洞性病変を形成する輸入真菌症で,外科的肺切除で診断されることが多い.ヒト-ヒト感染はないが,培養検体の感染性は非常に高く危険である.症例. 37歳男性.米国アリゾナ州での居住歴あり. 2010年1月から咳嗽と血痰があり,12月に胸部X線で右上肺野に空洞を伴う結節影を認め,肺結核が疑われ紹介受診した.喀痰・胃液の抗酸菌塗抹検査,喀痰結核菌transcription-reverse transcription concerted reaction (TRC), QuantiFERON^[○!R]TB-3Gはいずれも陰性であった.経気管支肺生検で内生胞子様構造物を認め,血清抗コクシジオイデス抗体陽性であり慢性肺コクシジオイデス症と診断した.結論.コクシジオイデス症を気管支鏡検査で診断することは難しく,本邦での報告例は少ない.しかし,海外との往来増加と検査技術の進歩により気管支鏡検査診断例も増えると思われる.結節や空洞性病変に対して気管支鏡検査を施行する場合には,渡航歴などからあらかじめ本症を含めた輸入真菌症の可能性を考慮することが重要である.

著者関連情報
© 2015 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top