気管支学
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症例
経気管支肺生検で診断しえた異所性石灰化症の長期経過観察例
羽間 大祐立原 素子國政 啓堂國 良太桐生 辰徳田村 大介櫨木 暢子上領 博小林 和幸西村 善博
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2017 年 39 巻 1 号 p. 64-70

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抄録

背景.異所性石灰化症は,全身の諸臓器に石灰化をきたす疾患である.種々の原因で生じ,特に慢性腎不全で高頻度に見られるが,正確な機序や長期の経過については十分に解明されていない.症例.59歳男性.慢性腎不全に対して1992年より血液透析を導入され,2006年に腎移植を施行された.2015年の健診で両肺すりガラス陰影を認め,当科に紹介となった.精査目的に気管支鏡検査を施行したところ,経気管支肺生検にて石灰化を認めた.病歴や各種検査所見も考慮に入れた上で,異所性石灰化症と診断した.以前のCTと比較すると石灰化の進行を認め,今後副甲状腺摘出術を予定している.結語.本症の診断において気管支鏡検査は,他疾患の除外に役立つとともに,外科的肺生検よりも低侵襲で病理学的評価を行うことができる点で有用な検査手段である.また,異所性石灰化症の長期経過観察を行った報告はまれであり,画像や肺機能の経過を知る上で貴重な症例と考え報告する.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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