気管支学
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症例
頸部リンパ節腫大を伴った気管成熟奇形腫の1例
菅野 健児永島 琢也椎野 王久乾 健二三ツ堀 隼弘益田 宗孝
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2017 年 39 巻 3 号 p. 273-277

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抄録

背景.呼吸器外科領域において縦隔成熟奇形腫は広く知られているが,気管成熟奇形腫の報告は非常に稀である.症例.43歳男性.他院にて気管支喘息の診断で加療されていたが,胸部CTで気管左壁に接し内腔の約50%を閉塞する2 cm大の結節影と,左頸部に同結節影と連続性のない4 cm大の腫瘤影を認め,当科紹介となった.気管支鏡検査を施行し,声帯から約5 cmに気管左壁を基部とする有茎性腫瘍を認めた.血液生化学検査では腫瘍マーカーの上昇はなかったが,PET-CTでは気管腫瘍にSUVmax=3.6,頸部腫瘍にSUVmax=8.3の集積を認め,気管原発悪性腫瘍及び頸部リンパ節転移を疑った.診断・治療目的に手術を施行した.頸部襟状切開+胸骨正中切開アプローチで2 cm長の気管輪状切除を行った.術中迅速診断で奇形腫の診断であり,炎症性頸部リンパ節腫大を疑い左頸部リンパ節郭清は省略した.結語.頸部リンパ節腫大を伴い,術前に悪性腫瘍を疑った気管奇形腫の1例を経験した.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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