気管支学
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原著
肺癌N因子診断における超音波気管支鏡下生検時の超音波画像所見の有用性
山口 牧子田畑 未央出村 芳樹奥野 雄大多田 利彦菅野 貴世史塩崎 晃平赤井 雅也
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2018 年 40 巻 2 号 p. 111-116

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抄録

背景.超音波気管支鏡下針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration;EBUS-TBNA)は,肺癌のリンパ節病期診断において有用な検査であるが,穿刺可能なリンパ節には制限がある.既報に超音波画像の形態的特徴が良悪性の鑑別に有用であるとする報告がいくつかあるが,報告によって所見は異なる.本研究の目的はEBUS-TBNAにおける超音波画像の形態的特徴の中でリンパ節転移の有無を予測するために,より有用な所見を同定し,穿刺すべきリンパ節および穿刺不要なリンパ節を明確にすることである.方法.肺癌のリンパ節病期診断のためにEBUS-TBNAを施行された患者を対象とした.超音波画像を以下の6項目に分類した.(1)大きさ:短径10 mm未満/以上,(2)形状:正円/楕円,(3)辺縁:明瞭/不明瞭,(4)内部エコー像の均一性:均一/不均一,(5)central hilar structure(CHS:中央の門様構造)の有無,(6)coagulation necrosis sign(CNS:凝固壊死)の有無.穿刺後,病理結果と比較検討した.結果.78症例91個のリンパ節を後方視的に検討した.リンパ節転移の正診率は内部エコー像不均一,CHSなしがそれぞれ81.3%,84.6%と高く,多変量解析でも独立した予測因子であった.この2項目をともに満たすリンパ節の95.0%(57/60)が悪性であり,いずれか一方のみを満たすリンパ節の56.5%(13/23)が悪性であった.結論.肺癌のリンパ節病期診断における超音波画像の形態的特徴の中で,内部エコー像不均一とCHSなしがリンパ節転移を予測するために有用な所見であった.

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© 2018 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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