2018 年 40 巻 2 号 p. 117-120
背景.気管支食道瘻は胸腔内悪性腫瘍の合併症の1つであり,慢性感染を惹起し予後不良である.症例.68歳男性.肺結節に対し当院呼吸器外科で右下葉切除術を行い,肺扁平上皮癌と診断された.1年後,縦隔リンパ節に再発し経口摂取不良となったため,胃管再建による食道バイパス術を施行し,放射線治療を行った.照射終了8日後に食道気管支瘻形成による重症肺炎のため入院し,人工呼吸器管理となった.集学的治療を行い,人工呼吸器から離脱し自宅退院した.結論.食道バイパス術が瘻孔発症以前に施行され,誤嚥リスクが低下していたことが救命の一因となったと考えられた.