気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
症例
経気管支針生検にて術前診断しえた炎症性筋線維芽細胞腫の1例
寺下 智美立原 素子堂國 良太吉崎 飛鳥関谷 怜奈田村 大介山本 正嗣上領 博小林 和幸西村 善博
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 40 巻 2 号 p. 163-167

詳細
抄録

背景.炎症性筋線維芽細胞腫inflammatory myofibroblastic tumor(IMT)は稀な低悪性度の軟部腫瘍であり,術前診断しえた例は非常に少ない.症例.39歳,男性.健診での胸部異常陰影の精査目的で当院を紹介受診された.胸部CTでは造影効果を伴う左B8をほぼ閉塞するような境界明瞭な4 cm大の腫瘤影を認めるも,血液検査では炎症反応の亢進や腫瘍マーカー値の上昇を認めなかった.気管支鏡検査では左B8に発赤を伴う腫瘤の露頭を認めた.経気管支針生検transbronchial needle aspiration(TBNA)にてリンパ球などの炎症細胞の浸潤を伴った細胞密度の高い紡錘形細胞の増生を認め,α-smooth muscle actin(αSMA)とanaplastic lymphoma kinase(ALK)陽性であったためIMTと診断した.結論.本症例のように若年者の孤発結節影を認めた場合,IMTを鑑別にあげる必要がある.TBNAとALKの免疫染色は,術前診断に有用な手法であると考えられた.

著者関連情報
© 2018 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top