気管支学
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症例
リバロキサバンによる肺胞出血の1例
伊藤 有平近藤 茂人井谷 英敏笹野 元岩本 圭右徳井 俊也谷川 元昭
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2018 年 40 巻 3 号 p. 216-220

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抄録

背景.トロンビン阻害薬や第Xa因子阻害剤による肺胞出血の報告はまれである.症例.80歳女性.2年前から心房細動に対して,リバロキサバン15 mg 1回/日が投与されていた.2日前からの咳嗽,咽頭痛,頭痛,1日前からの血尿を認め当院受診した.クレアチニンクリアランスは60 ml/minであった.5日後に増悪する血痰と呼吸困難を主訴に,再受診した.クレアチニンクリアランスは37 ml/minに低下していた.気管支肺胞洗浄で,徐々に濃くなる血性の回収液を認め,リバロキサバンによる肺胞出血と診断した.同薬の中止,止血剤,コルチコステロイド投与で改善した.結論.リバロキサバンによる肺胞出血が起こり得る.腎機能悪化による血中濃度過剰から肺胞出血をきたした可能性がある.

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© 2018 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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