2019 年 41 巻 3 号 p. 250-256
背景.EBUS-TBNAが広く使用され,その合併症に関する報告がされるようになってきた.検査後の縦隔炎や肺炎などの感染性の合併症は稀ではあるが,中でも心膜炎は非常に稀である.症例. 69歳男性.血痰を主訴に受診し胸部CT検査で肺癌が疑われた.そのため紹介医で診断および病期確定目的にEBUS-TBNAが施行され,その際に予防的抗菌薬の投与が行われた.肺腺癌の診断で化学療法目的に当院紹介となった.入院1週間前より微熱や倦怠感の増強,呼吸困難感も増悪していた.化学療法目的で入院した際(EBUS-TBNA後25日),胸部CTで縦隔の低吸収領域の増大・心囊液の増加を認め,採血結果も合わせて,穿刺したリンパ節からの縦隔炎・心膜炎・敗血症と診断した.直ちに心囊ドレナージ,抗菌薬治療を開始し改善した.心囊液よりStreptococcus viridans,静脈血よりPrevotella melaninogenicaが検出された.結論.EBUS-TBNA後に縦隔炎・心膜炎から敗血症に至った症例を経験した.早期に診断し治療を行えば救命可能であるため,EBUS-TBNA後に心膜炎などの重篤な感染症の合併が疑われた場合は,早急に精査を行うべきである.