2019 年 41 巻 3 号 p. 257-261
背景.気管支異物の症例は多く報告があるものの,両側気管支にコンクリート片が嵌頓した症例は極めて珍しい.症例.55歳の男性.建築物解体作業中,一過性に意識障害を起こし,回復後に呼吸困難を自覚した.胸部CTにて右中間幹および左主気管支にそれぞれ異物を認めた.呼吸不全の進行に備え体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)を準備した上で処置を行った.軟性気管支鏡で両側気管支内にコンクリート片を確認し,鰐口鉗子やバスケット鉗子で除去を試みたが除去できず,三脚型把持鉗子を使用することで両側気管支内に嵌頓していたコンクリート片を除去することができた.結論.両側気管支内に異物を認めた症例は数例しか報告がなく,検索した限り成人例では前例がない.摘出方法の検討や呼吸不全への対策を行うことで,両側気管支異物を軟性気管支鏡で摘出が可能であった.