気管支学
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症例
気管支鏡検査中に急性大動脈解離をきたした1例
齊木 雅史大柳 文義神山 潤二園田 智明西川 晋吾北園 聡栁谷 典子堀池 篤西尾 誠人
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2019 年 41 巻 3 号 p. 315-320

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抄録

背景.大動脈解離は気管支鏡検査中の合併症として非常に稀であるが,時に致死的となる可能性がある.症例.68歳男性,既往歴に陳旧性心筋梗塞,腹部大動脈瘤がある患者.2013年にlow-grade B-cell lymphomaの診断となり化学療法が施行された.完全寛解が得られていたが,2016年11月のpositron emission computed tomographyで縦隔リンパ節に18F-fluorodeoxyglucoseの集積を伴うリンパ節腫大を認めた.確定診断のため2017年1月に気管支鏡検査を施行した.気管,右主気管支にリドカインを散布していたところ,2度の胸部不快感の訴えがあったため,直ちに検査を中断し症状確認を行った.気管支鏡抜去後も胸部不快感が持続し,経過で背部にかけて疼痛が出現した.CT検査でStanford B型の急性大動脈解離と診断し,専門施設に搬送し救命できた.結論.気管支鏡検査中に急性大動脈解離をきたした1例を経験した.本症例のように血管系の合併症が多い症例では,特に注意が必要と考えられた.

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© 2019 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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