気管支学
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症例
N-butyl cyanoacrylateによる気管支動脈塞栓術が有効であった原発性気管支動脈蔓状血管腫の1例
横山 佑衣子高納 崇町井 春花谷本 光希佐野 未来木村 令西山 裕乃篠塚 怜衣横山 俊彦野村 史郎
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2019 年 41 巻 3 号 p. 310-314

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抄録

背景.原発性気管支動脈蔓状血管腫は稀な疾患であるが,喀血の鑑別として重要である.症例.47歳,女性.突然の喀血を主訴に入院となった.当初は胸部X線,CT,気管支鏡検査にて原因疾患を特定できず,気管支動脈造影にて右気管支動脈に屈曲・蛇行した血管の拡張と増生,及び右下葉肺動脈へのシャント血流が確認された.基礎疾患がないことから原発性気管支動脈蔓状血管腫と診断し,吸収性のゼラチンスポンジによる気管支動脈塞栓術(bronchial artery embolization:BAE)を施行した.以後喀血なく経過した5カ月後の気管支動脈造影にてシャントの再開通がみられ,塞栓物質を非吸収性のN-butyl cyanoacrylate(NBCA)に変更した.軽微な発熱以外合併症は認めなかった.NBCAの塞栓効果は半永久的とされており,現在まで出血なく経過している.結論.NBCAを用いたBAEは,原発性気管支動脈蔓状血管腫に対する有用な治療選択肢となりうる.

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© 2019 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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