気管支学
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原著
当科で経験した肺癌に合併した肺アスペルギルス症の臨床・画像的検討
澤岡 亜衣高村 圭山本 岳菊池 創山本 真
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2020 年 42 巻 3 号 p. 223-227

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抄録

背景.肺癌と肺アスペルギルス症の合併についての報告が国内でも散見されるようになってきているが,詳細はまだよくわかっていない.目的.肺癌と肺アスペルギルス症の合併例の臨床・画像的特徴を検討すること.対象と方法.2013年から2018年の6年間の当科における肺癌症例1149例のうち肺アスペルギルス症を合併した症例.背景因子のほか,合併時期,診断方法,治療方法,画像所見などについて後方視的に検討した.結果.合併症例は6例であった.男性5例,女性1例.全例が60歳以上であった.全例喫煙歴を有し,悪性腫瘍の治療の既往や副腎皮質ホルモンの投与があった.肺癌と肺アスペルギルス症の同時診断例が4例,肺癌治療後に肺アスペルギルス症を発症した例が2例で,肺アスペルギルス症の先行例は認めなかった.肺アスペルギルス症の画像は空洞に菌球を伴ったものが4例,類円形の腫瘤状影が1例,気管支拡張像が1例であった.肺癌治療後に生じた2例は,いずれも治療後の変化部位に菌球を伴った空洞性陰影として認められた.結論.肺癌と肺アスペルギルス症の合併については,喫煙やステロイド投与など全身に影響を及ぼす機序や治療後の遠隔合併症による機序が推測された.

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© 2020 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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