気管支学
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症例
Endobronchial Watanabe Spigot(EWS)により外科治療を回避できた有瘻性膿胸の2症例
浅野 久敏荒川 智嗣野田 祐基加藤 大喜柴崎 隆正森 彰平大塚 崇
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キーワード: EWS, 有瘻性膿胸, 外科治療
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2021 年 43 巻 1 号 p. 56-59

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抄録

はじめに.有瘻性膿胸は抗生剤投与・胸腔ドレナージのみでは改善せず,開窓術など侵襲的な外科治療を要する症例が多い.今回有瘻性膿胸に対してEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)を用いた気管支充填術が奏功し,外科治療を回避できた2症例を経験したので報告する.症例1.40歳代女性.左肺下葉に浸潤影を認め,精査目的で経気管支肺生検を施行した.検査10日後に発熱および左胸痛を認め,有瘻性膿胸の診断で入院加療となった.しかし気漏の改善を認めなかったため,左B9にEWSを充填し,気漏を閉鎖し得た.症例2.70歳代男性.右下葉肺結節に対し,右肺下葉切除術を施行した.術後5か月目に発熱と咳嗽を認め,胸部X線写真で右肺の浸潤影およびniveauが出現した.採血で炎症反応の高値を認め,有瘻性膿胸と診断し入院加療となった.胸腔ドレナージのみでは改善しなかったため右肺B1およびB2にEWSを充填し,気漏を閉鎖し得た.結語.有瘻性膿胸に対してEWSにより外科治療を回避し得た2症例を経験した.

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© 2021 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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