気管支学
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症例
経気管支肺生検が他疾患との鑑別に有用であった気管支喘息合併の難治性びまん性汎細気管支炎の1例
奥本 穣坂本 信二郎堀益 靖益田 武宮本 真太郎中島 拓岩本 博志藤高 一慶濱田 泰伸服部 登
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2021 年 43 巻 2 号 p. 117-122

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抄録

背景.びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)は,特徴的な画像所見と他疾患の除外により臨床診断され,14員環マクロライドの長期投与療法が有効な症例が多いが,少数ながら本治療が無効な難治例も存在する.症例.68歳女性.40歳から気管支喘息に対し吸入ステロイドにより治療されていた.7か月前に湿性咳嗽と後鼻漏症状が悪化し,CTで気管支肺炎と副鼻腔炎の所見が認められたため,クラリスロマイシンの内服治療が開始された.しかし以後も湿性咳嗽が持続し,半年後のCTでは両肺下葉の小葉中心性粒状影が新たに出現した.DPBの可能性が考えられ,ロキシスロマイシンの内服治療に変更されたが改善を認めなかった.鑑別診断目的で経気管支肺生検を施行され,活動性炎症を伴うDPBに合致する組織所見であり,アジスロマイシンへの変更により良好なコントロールが得られた.結論.経気管支肺生検が他疾患との鑑別に有用であった,気管支喘息に合併した14員環マクロライド抵抗性のDPBの症例を経験した.

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© 2021 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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