気管支学
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症例
アミオダロン肺障害との鑑別に気管支肺胞洗浄が有用だった八味地黄丸による好酸球性肺炎の1例
森谷 友博中村 健太郎加藤 里奈伊藤 優若井 陽子川上 直樹斎藤 弘明齊藤 和人
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2021 年 43 巻 2 号 p. 175-180

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抄録

背景.八味地黄丸による薬剤性肺障害は稀である.症例.70歳男性.呼吸器疾患の既往はなかった.20XX-1年8月に心室細動を発症したため,当院循環器内科でアミオダロン200 mg/日を開始された.20XX年8月上旬より前立腺肥大症に対して当院泌尿器科で八味地黄丸7.5 g/日を開始された.8月下旬より咳嗽を,9月中旬より労作時呼吸困難を自覚するようになり,9月下旬に当科を受診した.胸部CTでは非区域性の両肺末梢優位のすりガラス状陰影,浸潤影を認めた.気管支肺胞洗浄液は好酸球優位の細胞分画で,泡沫状マクロファージは認めなかった.薬剤によるリンパ球刺激試験で八味地黄丸が陽性であり,八味地黄丸による薬剤性好酸球性肺炎と診断した.結論.アミオダロン肺障害との鑑別に気管支肺胞洗浄が有用だった八味地黄丸による好酸球性肺炎の1例を経験した.八味地黄丸による薬剤性肺障害の報告は稀であり,過去に病型の報告を認めない.

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© 2021 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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