気管支学
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原著
気管支鏡検査で偶発的に発見された咽喉頭病変についての検討
北岡 有香林原 賢治兵頭 健太郎金澤 潤中川 隆行薄井 真悟大石 修司齊藤 武文南 優子
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2021 年 43 巻 3 号 p. 208-214

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抄録

背景.気管支鏡検査は主に気管以下の下気道の疾患を疑い,精査,診断目的に行われるが,気管支鏡挿入時に偶発的に咽喉頭病変を認めることがある.今回,気管支鏡検査において偶発的に発見された咽喉頭病変について,合併頻度や症例の特徴,疾患の傾向を明らかにするために後方視的検討を行った.方法.当院で2014年10月から2019年9月までの5年間に行われた気管支鏡検査について,診療録をもとに,咽喉頭病変を認めた症例における年齢,性別,咽喉頭病変に伴うと思われる自覚症状の有無,喫煙歴,気管支鏡の目的となった疾患について解析した.結果.気管支鏡検査の総件数は4062件で,そのうち40例(0.98%)に咽喉頭病変を認め,発見される頻度は年々増加する傾向にあった.診断は声帯ポリープが最も多く,次いで喉頭癌,声帯結節が多かった.特に喉頭癌や声帯白板症は,比較的高齢で重喫煙歴のある男性に認められた.結語.特に高齢で喫煙歴のある患者では,無症状でも咽喉頭病変を合併している可能性が高く,気管支鏡検査前に口腔内の麻酔を十分に行い意識的に口腔,咽喉頭を観察することが重要である.

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© 2021 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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