気管支学
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症例
結核後遺残腔に発症したアスペルギルス膿胸に伴う難治性気管支瘻に対してEWSとエチル2-シアノアクリレート(アロンアルファA)を用いた気管支充填術が奏効した1例
井本 智博鈴木 繁紀濱田 賢一
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2021 年 43 巻 3 号 p. 243-248

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抄録

背景.有瘻性膿胸や気管支瘻は外科的治療を要する場合が多く,外科的治療後も難渋する気管支瘻が存在することがある.考慮し得る他の治療選択肢として,気管支充填術がある.症例.65歳,男性.結核治療後の遺残腔にアスペルギルスによる慢性膿胸を合併し,長期の慢性炎症に起因する多発気管支瘻を生じた.有瘻性膿胸と診断して開窓術を施行し,気管支瘻の閉鎖目的にEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)を用いた気管支充填術を施行したが奏効せず,充填したEWSと気管支内壁の隙間を埋める形で,気管支鏡下にシアノアクリレート(アロンアルファA)を注入したところ,気漏は完全に消失した.結語.難治性気管支瘻に対する治療としてアロンアルファAとEWSとの併用による気管支充填術が奏効した1例を経験したため,有用な治療選択肢の1つとして報告する.

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© 2021 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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