背景.肺癌生検後に肺化膿症を併発した場合は治療に難渋することがある.症例.63歳男性.慢性腎不全に対して血液透析をしていたところ,胸部異常影を指摘され,紹介された.CTで右上葉S2に4 cm大の腫瘤があり,気管支鏡検査を施行したところ右B2bが狭窄していた.経気管支生検で小細胞癌の診断となった.生検後に肺癌に一致して肺化膿症を併発したため,抗菌薬加療を行ったが改善しなかった.肺癌の縮小による気管支狭窄の改善を試み,慎重に化学療法を行った.さらに気管支鏡的に排膿を行うことによって,肺化膿症は治癒した.その後,肺癌に対する化学放射線療法に移行することが可能となり,長期生存を得られている.結論.経気管支生検後に併発した肺化膿症に対する気管支鏡的排膿は有用である.本症例は,感染症の治療をしながら肺癌に対する化学療法も継続することが可能であった.