気管支学
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症例
原発巣切除50年後に気道出血で発症し,気管支鏡で診断した頸動脈小体腫瘍肺転移の1例
大内 政嗣井上 修平尾﨑 良智赤澤 彰和田 広御園生 昌史
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2023 年 45 巻 2 号 p. 103-109

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抄録

背景.頸動脈小体腫瘍は稀な腫瘍で,組織学的には傍神経節細胞腫である.多血性腫瘍のため,原発巣を含めてその生検は困難であることが多い.症例.65歳,女性.13歳頃に右頸動脈小体腫瘍に対して手術歴があった.乳癌術後の経過観察中に血痰が出現し,CTで左肺下葉にB6内腔に突出する強い造影効果を伴う結節影が認められ,当科に紹介となった.PET-CTでFDG集積を伴う両肺多発小結節と多発骨硬化像を認めた.気管支鏡検査で左B6入口部に赤色,ポリープ型の隆起性病変を認め,B6は狭窄していた.比較的多量の出血があり,局所麻酔下での生検は断念した.後日,全身麻酔,気管挿管下に気管支鏡下生検を行い,半導体レーザーで止血,出血の制御は容易であった.組織学的に傍神経節細胞腫であり,頸動脈小体腫瘍の多発肺転移,骨転移と診断した.気道出血の制御のため左S6肺腫瘍に対して放射線治療を行い,腫瘍は縮小し,血痰も消失した.結語.頸動脈小体腫瘍肺転移に対して全身麻酔・陽圧換気下で安全に気管支鏡下生検を行い,組織学的に確定診断を得ることが可能であった.

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© 2023 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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