気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
転移性肺腫瘍の気管支鏡所見の検討
沖津 宏内藤 淳阿部 真也林 永信雨宮 隆太於保 健吉早田 義博
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 7 巻 1 号 p. 39-48

詳細
抄録
転移性肺腫瘍53例のうち内視鏡的に何らかの異常所見を呈するものは41例77%に認めた。内視鏡所見を増殖形態より分類すると, 表面不整でしばしば壊死組織や粘液変性物質に被われる粘膜主体型のポリープ状増殖を示す症例は21例と最も多く, 結腸癌, 腎癌などにその典型例が認められた。気管支粘膜に被われ, 腫瘍の増殖が気管支壁内にある粘膜下主体型の症例は11例あった。気管支壁外よりの圧排増殖所見を示す例では, 気管支壁に腫瘤を形成せず, 9例にみられた。これら3グループに分類し各腫瘍の特徴について検討した。筆者らは, endobronchial metastasisの定義を「腫瘤の中枢端が気管支ファイバースコープ可視範囲である亜々区域支までに存在し, 気管支腔内性に増殖する腫瘤を総称し, 腫瘤中枢先端部周囲気管支壁の浸潤所見のないもの」とし, 転移性肺腫瘍中16例30%に認めた。endobronchial metastasisを示すものは, ポリープ状に増殖する肺の扁平上皮癌や末梢発生腺癌との鑑別, 粘膜下主体型の増殖例では肺大細胞癌との鑑別が重要で, 常に転移性肺腫瘍もありえることを念頭におくべきである。
著者関連情報
© 1985 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top