気管支学
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気管支病変を形成した転移性肺腫瘍
堂坂 弘俊板橋 孝一永井 達夫常田 育宏阿部 庄作川上 義和
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1985 年 7 巻 2 号 p. 141-146

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抄録
当科で経験した気管支病変を形成した転移性肺腫瘍16例について検討した。各症例の原発部位は, 口腔底, 喉頭, 甲状腺, 乳房, 食道, 膵, 肝, 腎, 子宮, 悪性リンパ腫, 肉腫で, 多臓器, 多腫瘍にわたった。気管支鏡所見を表層型, 結節隆起型, ポリープ型, 壁外外圧型の4型に分類した。頻度はそれぞれ1例, 12例, 6例, 1例であった。気管支内腫瘤の発生機序と気管支鏡所見の関係では, 気管支鏡所見上結節隆起型を示すものは, 気管支壁内転移ばかりでなく, 腫瘍直接浸潤例, リンパ節転移・肺内転移からの浸潤例でも認めた。これに対して, ポリープ型を示すものの多くは気管支壁内転移例であった。転移性肺腫瘍や食道癌等の縦隔内悪性腫瘍の症例では気管支鏡検査を励行し, 原発性肺癌, 良性腫瘍, 肺結核等との鑑別や原発巣の同定のため, 積極的に気管支内腫瘤の生検組織診や擦過細胞診を施行すべきであると考えた。
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© 1985 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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