気管支学
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気管支肺胞上皮からのクリアランス : ^<99m>Tc-DTPA エアロゾル吸入を用いた間質性肺疾患症例における肺胞上皮透過性の評価(気道クリアランスをめぐって)
石坂 彰敏金沢 実黒田 道郎鈴木 幸男横山 哲朗橋本 禎介久保 敦司橋本 省三
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1985 年 7 巻 4 号 p. 459-465

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抄録

^<99m>Tc-DTPA (diethylene triamine penta acetate)エアロゾル吸入後の胸部γ線体外計測により, 健常者と間質性肺疾患症例における肺胞上皮の^<99m>Tc-DTPAに対する透過性の変化を推測した。^<99m>Tc-DTPAが分布した肺胞上皮表面の液相を単一分画と考え, ^<99m>Tc-DTPAの肺からの移動率kepを肺胞上皮に対する透過性の指標として求めた。健常者のkepに年齢との関係, 男女の性別による差を認めなかった。放射線肺臓炎で胸部X線上陰影を認めた肺野のkepは29.9±12.3×10^<-3>min^<-1>で, 非照射側肺で陰影を認めなかった肺野の12.3±4.2×10^<-3>min^<-1>に比べて高値を示した。びまん性間質性肺疾患症例のkepは原因不明の群, 続発性の群, サルコイドーシス症例でそれぞれ29.1±11.5, 28.8±14.1, 14.2±4.9×10^<-3>min^<-1>といずれも健常者に比べて高値を示した。放射線照射を受けた対象のprospectiveな観察から, 放射線肺臓炎を発症した症例でPa_<o2>の悪化や胸部X線上の陰影の出現前に肺胞上皮の透過性が亢進している対象が存在することが分かった。以上より本法は間質性肺疾患症例の肺胞上皮細胞障害を^<99m>Tc-DTPAに対する透過性の変化として検出しうる新しい検査法であることが示唆された。

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© 1985 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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