気管支学
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ヒト気管平滑筋における自然張力 (basal tone) の存在と意義(気道平滑筋をめぐって)
佐竹 辰夫
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1985 年 7 巻 4 号 p. 537-542

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抄録

平滑筋に対する研究のうち, 気道のそれに対するものは少ない。なかでもヒト気道平滑筋についての報告はほとんどない。しかし, 最近, 気管支拡張剤, 平滑筋弛緩剤の薬効検定に際し, あるいはそれらに関連したCa代謝およびK, Sr, Baなど各種電解質濃度の影響など基礎的知識が要求され始めた。本論文では, ヒト気管平滑筋102切片を用い, まず, ヒト気管平滑筋にも自然張力が存在し, そのレベルが薬物負荷のstarting pointに適していること, 次に, 多用されているモルモットの場合と対比しながらアラキドン酸カスケード(cyclooxygenase, lipoxygenase)との関連で両者の相違と特徴を明らかにした。気道平滑筋の自然張力は, 主にヒトではleukotrienes, モルモットではprostaglandinsによって保持されていると推定できた。したがって, 今後は「ヒト」について検討することが望まれる。

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© 1985 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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