気管支学
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ヒト気管支上皮における組織修復過程 : 細胞形態および細胞動態に関する検討(気道粘膜上皮の再生における基礎と臨床)
今井 督斎藤 泰紀永元 則義薄田 勝男高橋 里美太田 伸一郎佐川 元保佐藤 雅美菅間 敬治須田 秀一仲田 祐佐藤 博俊橋本 邦久
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1988 年 9 巻 4 号 p. 365-372

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抄録

気管支鏡下に粘膜を擦過後に出現する, 組織修復に関与すると思われる異型細胞を検討し以下の結論を得た。1)擦過後, 2∿3日目は異型高度な細胞が見られ, 2日目には核分裂像も散見された。4∿5日目には異型細胞は少なくなり, 成熟した円柱上皮細胞に移行しつつある所見が見られ, 7日目には, ほぼ正常の所見に復していた。2)異型高度な細胞の核面積およびDNA indexは, 7日目の無線毛円柱上皮細胞に比し高値であった。3)炎症性疾患でも類似した異型高度な細胞が擦過物に見られる場合があった。4)以上の一連の変化は, 動物実験による報告と良く符号し, ヒト気管支上皮の修復機転も類似したものと考えられた。5)高度異型細胞は悪性細胞との鑑別が問題となるため, 同一部位の擦過は少なくとも一週間以上の間隔をおいて行うことが望ましいと考えられた。

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© 1988 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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