抄録
苗木植栽による広葉樹造林が成功しない原因のひとつにニホンノウサギ (Lepus brachyurus) による食害被害がある。しかしながら, 広葉樹苗木に対するノウサギ被害の低コストで防止効果の高い有効な抑止技術は未だ確立されていない。そこで, ノウサギの生息密度が高い広葉樹造林地において,「生分解性ポリ乳酸不織布」でつくられた「ノウサギ食害防止資材」を苗木に設置し, ノウサギの食害防止効果と資材の耐久性を比較した。その結果, ノウサギ食害防止資材は, 広葉樹苗木に対するノウサギの食害をほぼ完全に防ぐことができた。さらに, ノウサギ食害防止資材を設置することによって, 苗木が枯死に至る致命的な加害部位である地上高30 cmまでの低い部分への幹切断を完全に防ぐことができた。このため, 資材に覆われない部分を食害されても設置個体の生存率を高める効果が期待できるものと考えられた。さらに, 事業規模での広葉樹造林地においても, 植栽苗木にノウサギ食害防止資材を設置することによってノウサギの食害に高い防止効果が認められた。