マツ材線虫病被害林の修復を目的として,下層木の除去と林床有機物層除去を行い,残存するアカマツ林冠木の成長とアカマツ実生の定着を検討した。その結果,アカマツ林冠木では,下層木の除去によって他種個体からの競争圧が減少し,成長が促進されることが明らかになった。アカマツの実生では,下層木の除去と林床有機物層の除去によって,その定着が促進された。林床有機物層が残存する場合には,実生発生直後で根系が有機物層内にとどまっている期間の死亡率がそれ以降の期間に比べて高く,有機物層内の乾燥害などによって実生が死亡しやすいことが示唆された。以上から,マツ材線虫病被害林において,下層木と林床有機物層の除去は被害林の修復に有効であることが示唆された。