人工照葉樹林の林床の多様性評価を目的に,人工林と近郊の二次林で群落構造と実生の調査を行った。人工照葉樹林では,二次林に比べて2-10 cmの小径木が少なく,下層植生が十分に発達していなかった。両者の当年生実生の個体密度は二次林で2.7個体/m2,人工林では4.6個体/m2と二次林の方が低かったが,当年生の実生は二次林で47種/300 m2,人工林では16種/300 m2であり,人工林の林床は二次林の林床に比べて極端に種多様性が低いことが明らかとなった。しかし,人工ギャップ形成を伴う植生管理によって,実生の密度は16.0-62.7個体/m2,種数も4.5-17.8種/m2となり,種多様性は向上した。