抄録
下鴨神社糺の森において胸高直径10 cm以上を対象とする毎木調査を行い,11年間での樹木の個体間競争による枯死状況を,各々の樹木に隣接する上層個体との距離およびサイズの差に基いて検討した。その結果,全体では,小径木(直径10-15 cm)では庇陰樹木が極めて近接しているよりも5-10 mに存在している場合で枯死率が高くなった。また大径木(直径30 cm以上)では庇陰樹木との距離が10 mを超えると枯死率への影響が非常に小さくなった。またクスノキ,ムクノキ,エノキ,ケヤキの優占4樹種では反応が異なりエノキ,ケヤキの中径木(直径15-30 cm)が庇陰個体の影響を強く受けており,両種の新規加入個体が林冠層まで達するためには,上層木の影響がない低密度の空間を必要とするものと考えられた。