日本緑化工学会誌
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論文
キバナノアマナ(Gagea lutea Ker-Gawl.)種子の発芽に及ぼす貯蔵方法·播種時期·埋土深·光の影響
近藤 哲也三浦 拓島田 大史
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2005 年 30 巻 3 号 p. 546-551

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抄録

キバナノアマナの群落を種子や苗によって作り出すことを想定して,実用場面で有用な情報となる種子の貯蔵方法,播種時期,埋土深,光の影響を調査した。種子を植木鉢に播種して行った野外実験と,シャーレに播種して行った室内実験を実施した。本論では発芽の段階を,種皮から幼根が突出した「発根」と地上に子葉が出現した「出芽」とに区別した。乾燥5°Cで貯蔵した種子は,2 年間は90% 以上の発根率を保ったが,乾燥25°C貯蔵や乾燥室温貯蔵では,2年後の発根率が30%にまで低下した。乾燥5°C貯蔵の種子を9月上旬までに播種すれば,翌春には70% 以上が出芽したが,10,11 月に播種すると出芽率は30% 以下に低下した。10,11 月の播種区で,翌春に出芽しなかった種子の一部は,翌々春に新たに出芽した。0.5-1 cmの埋土深では,74% 以上の出芽率が得られ,2 cm以上の埋土深では63% 以下に低下した。光条件は発芽にほとんど影響しなかった。これらよりキバナノアマナ種子は取播きを行う必要はなく,乾燥5°Cで貯蔵した種子を9 月上旬までに,0.5-1 cmの埋土深で播種すると,翌春には高い出芽率を得られることが示された。

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© 2005 日本緑化工学会
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