「生態学的混播・混植法」は,風倒に伴う根返り跡の更新を参考に開発した自然に近い樹林の再生法である。この方法では,根返りの結果,根系が広がっていた範囲の地表部が裸地化し,そこに自然散布された多種類の樹木の種子が同時的に発芽・成長し,先駆性から極相性の樹林へと遷移する過程を再現しようとするものである。開発は,1991年に河畔林の再生法として着手され,1995年頃,現行の方法が確立され,現在まで約10年間,実証過程に入っている。この方法の特徴は,目標の設定・種子の採種・苗の養成・植栽(播種)・記録・追跡調査・評価の全体を含んだシステムとなっていることである。この結果,約10年間で北海道の河畔や堤防,ダム,道路法面等を中心に約100箇所,73種,10万本が導入され,継続的なモニタリングによるデータが蓄積されている。これらのデータの解析により,全体としては,当初目指した先駆樹種による速やかな樹林形成と,極相樹種への緩やかな遷移が実現しつつあることが確認できた。