日本緑化工学会誌
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論文
京都市内の非樹林緑地としての神社境内における草本植物の種数と種の出現パターン
今西 亜友美今西 純一村上 健太郎森本 幸裕里村 明香
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2005 年 31 巻 2 号 p. 278-283

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抄録

都市における生物多様性の保全に関する基礎的知見を得るため,京都市内14箇所の神社境内(非舗装の非樹林地)において,草本植物の 1)種数と境内面積,形状等の環境条件や人為的撹乱との関係,2)種の出現パターンと入れ子(下位の入れ子に出現する種が上位の入れ子に順次,組み入れられている状態)から逸脱しやすい種の特徴について研究を行った。その結果,種数と関係の強い環境条件は境内面積であることがわかった。また,国外外来種の種数は被踏圧面積の割合の減少や下刈り施業面積の割合の増加に伴って増加する可能性が示された。種の出現パターンは入れ子状であり,基本的には上位の入れ子の神社境内から保全していくことが望ましいと考えられた。しかし,多年草,1回出現種は入れ子から比較的逸脱しやすい種であることが示され,またレッドデータブック記載種は入れ子順位が下位の境内においても記録された。これらのことから,京都市内の神社境内における草本植物種保全のためには,下位の入れ子も含めた複数の境内の保全が必要であると考えられた。

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© 2005 日本緑化工学会
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