抄録
植生誘導工のひとつである種子なし厚層基材吹付工(無播種施工)が行われた富士スバルラインの標高2,300 m地点に位置する法面において,施工24年後の植生調査を実施した。過去の調査記録をもとに植生の推移についてとりまとめるとともに,隣接する緑化工が行われていない対照区と,法面上部の自然林の植生調査を行い植生の比較を行った。その結果,種子なし厚層基材吹付工は対照区と比較して早期に木本植物が侵入し,周辺環境と調和した植生が形成され,自然林に向けて推移しつつある状況が確かめられ,地域性系統による緑化が求められる自然公園内における自然回復緑化方法のひとつとして有効であることが確かめられた。