日本緑化工学会誌
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論文
蒸発散量の計測によるパネル型壁面緑化の温熱環境改善効果
鈴木 弘孝三坂 育正田代 順孝
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2006 年 32 巻 1 号 p. 80-85

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抄録

本研究では,壁面緑化による温熱環境改善効果の定量的な評価に寄与することを目的として,アメリカツルマサキ(Euonymus fortunei (Turcs.) Hand.-Mazz.)を用いたパネル緑化材からの蒸発散量を重量法により計測し,計測値から潜熱フラックスを算出して,壁面緑化による建物外部温熱環境への顕熱の低減効果について定量的な検討を行った。実験計測の結果,1)ピートモスを培土とする緑化パネル材からの蒸発散量は一日当たり約4.1kg/m2(4.1mm)で,このうち植物からの蒸散量は約2.4kg/m2(2.4mm)であり,緑化パネル材からの蒸発散量の約60%を示した。2)潜熱フラックスと正味放射量との間には正の相関が認められ,緑化パネル材からの蒸発散量による潜熱フラックスは正味放射量の増加分の約60%であった。実験計測値から緑化パネル材の潜熱フラックスを算出し,熱収支の解析により,壁面緑化による外部温熱環境への顕熱低減効果を定量的に評価できることが示唆された。

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© 2006 日本緑化工学会
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