抄録
国内における北限(北海道十勝)の絶滅危惧植物ヒシモドキの自生地および生育状況を調査した。また,絶滅の危険分散に資する移植試験および他地域との果実の外部形態を調査した。その結果,自生地は遷移によって,開放水面が著しく減少し,これに伴い生育密度,水中閉鎖花の形成数も大きく減少していることが示された。また,自生地では渇水がみられ,他地域の生育環境とは異なった。水深別の移植試験では,水深40 cm程度の試験区のみで被度・閉鎖花の形成等,旺盛な生長が確認され,容易に定着可能と判断されたが,それ以上の水深では定着しなかった。果実の外部形態では芒数から北海道産は佐賀県産に類似していることが示された。同種の保全には,自生地の保全と共に,土取り場跡地・浚渫排泥跡地等,河川事業を活用した止水環境の創出が重要と考えられた。