日本色彩学会誌
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シーンから得られる複数の統計的特徴を用いた色補正を行った人物追跡
辻本 晃大土居 元紀
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2018 年 42 巻 3+ 号 p. 8-

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抄録

 監視カメラによるセキュリティなど,人物追跡は様々な分野で重要な課題である.複数の人物が映り込んだ場面を想定すると,衣服の色情報が対象となる人物を識別する有力な手掛かりとなる.しかし,照明変動がある場合や照明環境の異なる複数のカメラ間での人物追跡においては,追跡に失敗することが多い.筆者らのグループはこれまで照明光の変化に対応するため,シーン全体の色の平均値を用いて照明変動を補正し,変動に強い状態推定手法であるパーティクルフィルタを用いて人物を追跡する方法を提案してきた.また,平均値,中央値,Gray-Edgeなどの統計値を用いた場合の照明変動補正について静止画像における実験に基づき検討してきた.その結果,シーンの性質によって最も有効な統計値は異なり,シーンにより適する統計値が異なる場合があるのではないかと考えた.シーン全体の色の各統計的特徴を統合して用いた方法を提案する.提案手法による照明変動補正をした人物追跡実験を行った結果,従来手法より追跡精度の向上が確認できた.また,シーンの背景の色分布が異なる場合についても追跡実験を行い,同様に有効性を確認した.

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© 2018 一般社団法人 日本色彩学会
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