緑化に利用可能な種の拡大を目指し,2年間から33年間にわたって室温で乾燥貯蔵した29種の在来草本植物の種子の発芽率の経年変化を調べた。発芽率の推移には種によって,(1) 時間の経過と共に減衰していくタイプ,(2) 顕著な減衰が見られず長期間発芽率を維持するタイプ,(3) 貯蔵後,数年の間は発芽率が高くなるタイプがみられ,貯蔵性に違いがあるものの,室温で貯蔵可能な種が多くあることが示唆された。(1)にはタデ科植物が,(2)にはマメ科植物,イネ科スズメガヤ属,ススキ属,メヒシバ属があてはまる。またキク科,イネ科には(3)の傾向が見られる種があり,後熟が進行した可能性が示唆された。