日本緑化工学会誌
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論文
農村地域における神社林の鳥類相と環境条件の関係
細垣 彩加橋本 啓史小見山 章今西 純一森本 幸裕
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2009 年 35 巻 4 号 p. 523-531

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抄録

小規模な樹林の生物相と環境条件の関係を明らかにすることは,公園などの緑地における生物保全を考えていく上で重要である。そこで,本研究では小規模な樹林を利用する樹林性鳥類とその樹林の環境条件との関係を明らかにし,小規模な樹林における鳥類保全について考察することを目的とした。小規模な樹林として岐阜県養老町の神社林42 ヶ所を対象に,鳥類調査と毎木調査を行い,樹林性鳥類の種数または種組成が境内面積や樹種数,周辺の樹木率などの環境条件とどのような相関があるかを重回帰分析とTWNSPAN,判別分析を用いて明らかにした。その結果,境内面積,半径100 m 円内樹木率,樹種数が鳥類種数と正の相関が見られ,境内面積が広く,周辺の樹木率が高く,樹種数の多い神社林ほど,多くの鳥類種の利用が見られることが分かった。しかし,ヤマガラ Parus varius Temminck & Schlegel などの一部の種は1ha 以下の神社林では見られず,より大規模な緑地の保全が必要だということが明らかになった。

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