日本緑化工学会誌
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技術報告
緑化材料として春と夏に採取した森林表土の撒き出し試験事例
久保 満佐子細木 大輔松江 正彦
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2009 年 35 巻 4 号 p. 532-536

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抄録

関西・中四国地方の尾根,谷,斜面のコナラ林の表土を7 月に,アカマツ林の表土を2 月に,アベマキ林の表土を3 月にプランターに撒き出し,実生出現法で1 年間の発芽数を調べて埋土種子数を推定した。1 リットル当たりの発芽数は,尾根のコナラ林で9.8 個,谷のコナラ林で13.5 個,斜面のコナラ林で29.7 個,アカマツ林で45.6 個,アベマキ林で27.6 個であった。コナラ林とアカマツ林の表土ではヒサカキとリョウブの埋土種子が多く,アベマキ林の表土ではカラスザンショウとヒサカキが多かった。発芽数および発芽種数を月ごとの変化でみると,7 月に撒き出しを行ったコナラ林の表土では,撒き出し当年の夏と翌春の2 回にわたり発芽し,2 月に撒き出しを行ったアカマツ林の表土と3 月に撒き出しを行ったアベマキ林の表土では,当年の夏に多く発芽した。本結果は,7 月よりも2 月や3 月に撒き出しを行った方が短期間で多くの発芽数や種数を把握できることを示唆している。

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